過ごしやすい季節になると、どこか旅行に出掛けたくなりますよね。旅行を通じて、子どもの成長を促すことができる「旅育(たびいく)」。いま、子育て世代の間では注目を集めています。
「旅育(たびいく)」とは、家族でいろいろな体験をし、子どもの心身の成長を促すことを目的とした家族旅行です。特に、言葉を理解し会話をするようになる3歳から、脳の成長が著しい9歳頃までにかけての時期は、旅育に適しているとされています。
今回は、子どもとの旅行についてお話します。
コミュニケーション能力
旅行先で出会った人々との交流を通じて、コミュニケーション能力を高めることができます。
家族の絆
家族との旅行を通じて、家族の絆を深めることができます。
役割や目標を決めて成功体験を重ねる
旅行は子どもの自己肯定感を育むための良い機会になります。自己肯定感とは、「自分は大丈夫」と信じられる力であり、「できた!」という成功体験によって養われるものです。そして、子どもにとっての成功体験とは、パパ・ママが認めてくれた、褒めてくれたことが重要です。日常生活で行動を褒めるのは難しいですが、旅では役割分担や目標を設定することで普段よりも褒めやすくなり、成功体験を重ねやすいのです。
計画性
目的地までの距離や交通手段を調べたり、旅先での活動や宿泊先を決めたり、旅行に行く前の計画を立てることは欠かせません。そして、計画を立てる段階から子どもにも参加してもらい、子どもの意見なども聞き入れて、家族みんなで計画を立てます。子どももスケジュールを把握することで、見通しを持って行動したり、段取りよく時間を管理したりできるスキルは、大人になっても必要とされるため、早い段階から意識しておくことが大切です。
主体性
子どもを中心として、「次の旅行はどこへ行くか」「どのような体験をするか」など話し合うことで、主体性が育まれます。自分が中心になって計画を進めれば、旅行へのモチベーションが高まります。主体的に取り組んだ旅行が充実したものになれば、大きな自信にもなります。
地理力・歴史力
旅行先の歴史や文化、自然環境に触れることで、地理的な知識を深めることができます。歴史的な建造物や遺跡を訪れることで、歴史への理解を深めることができます。
旅育におすすめの子どもの年齢は、一般的に3歳頃と言われています。理由として3歳頃になると言葉や行動で自分の意志を伝えられるようになり、旅先での体験がより深く理解できるようになるからです。また、好奇心旺盛で新しいものに興味を持ちやすい時期でもあるため、旅先での刺激が子どもの成長に大きく影響されることでしょう。
しかし、3歳以下でも旅育を取り入れることは可能です。赤ちゃんの場合は、肌で感じる触覚や見る、聞く、匂うといった五感を刺激するような体験を重視した旅を計画しましょう。年齢に合わせて目的や内容を変えていくと、より子どもに合った旅育を満喫することができます。
●3~6歳:五感を刺激する体験、簡単なルールのある遊びで好奇心と主体性を育てる
●7~12歳:歴史や文化、自然に触れる体験を通して知識を広げ感受性を豊かにする
●13~18歳:自立心を育てるための体験や異文化交流を通してコミュニケーション能力を高める
自然に触れられる場所
雄大な景色を遠くから眺めるような場所よりも、自分の手で自然に触れて楽しめるような場所は旅育に向いています。特に幼少期の子どもは、興味を持ったものに何でも手を伸ばしたくなるものです。触れるだけではなく、花の香りを嗅いだり、鳥のさえずりを聞いたり、感性が刺激されることは子どもにとって新鮮な体験となります。
収穫体験ができる場所
野菜や果物などの収穫体験も旅育にピッタリです。いつも食べているものの形や実の付き方、収穫方法など体験を通して多くのことを学べます。収穫したばかりの野菜や果物を食べることも、喜びに繋がります。パパ・ママの行動を真似したい年ごろの2~3歳頃の子どもにもおすすめです。
科学館や博物館
科学館や博物館には、子どもの好奇心を刺激する展示物がたくさんあります。旅先に合わせて、どんな施設があるか探してみるのもよいでしょう。
ゆとりを持った日程で組む
旅先で何か体験をする場合、ゆとりのあるスケジュールにすることをおすすめします。スケジュールを詰め込みすぎて、子どもが一番楽しみにしていたことが出来なかった、なんてことがないようにしましょう。子どもと一緒に行く場所の営業時間や利用料金なども調べておくと、事前のリサーチが大切なことを伝えられます。無理のない計画はパパ、ママ、子どもで会話を楽しむ時間を持つことにも繋がります。
小さな目標や役割を決める
子どもには、旅の準備段階から参加してもらうのがおすすめです。パパ・ママだけで決めた旅先に行くよりも、子どもが旅に関心を示し、自分も一緒に参加しているという気持ちが高まります。その際に大切なのは、子どもの希望や提案を聞いて、受け入れることです。予算などに合わせて複数のプランを用意し、そこから選んでもらうとよいでしょう。自分の希望を受け入れてもらったという経験も、子どもの心を育てます。また、まだ言葉を発しないような赤ちゃんであっても「○○に旅行に行こうね」「初めての電車、楽しみだね」などと、声をかけてみてください。
旅の記録を残す
旅先での思い出をいつでも振り返れるように、写真や動画などでの記録をしましょう。旅先から自宅に絵葉書を出したり、現地でしか手に入らないスタンプラリーに挑戦したりするのも良い思い出になります。旅行後に、記録したものを見て親子で一緒に眺めて思い出を共有したり、次の旅の計画を立てたりするのも、子どもにとって嬉しい時間です。