赤ちゃん返り


赤ちゃん返りとは?


赤ちゃん返りとは?

「赤ちゃん返り」とは、ある程度色々なことができるようになった子どもが、まるで赤ちゃんに戻ったような振る舞いをすることを言います。特に、弟や妹が産まれたばかりの上の子に起こりやすいと言われていますが、一人っ子でも、環境が変わったときに起こることもあります。

 

赤ちゃん返りの原因は、「ぼく、わたしを見て!」という注目願望が一番の理由です。抱っこして欲しい、構って欲しい、可愛がって欲しい、という気持ちです。そのために、それまでできていたことをやらなくなったり、激しいワガママや自己主張をして、パパ・ママに強制的に手をかけさせる行動に出ます。今までは、自分1人に注がれていた両親の気持ちが、弟や妹に移ってしまうのではないか? という不安な思いから、「赤ちゃん返り」という行動として表に現れてきます。

 

毎日のことなので、下の子のお世話をしながらだと本当に大変ですよね。今回は「子どもの赤ちゃん返り」どんな時に起きるのか、ポイントなどをお話します。



赤ちゃん返りが起きるのはどんなとき?


赤ちゃん返りが起きるのはどんなとき?

年下のきょうだいが産まれたとき

少なくなり、なかなか構ってもらえない状況になってしまいます。子どもは自分が放っておかれている、自分よりも下の子のきょうだいの方が愛されているのではないかと感じ、不安になってしまうのです。そうすると、パパとママの愛情を取り戻したい、自分の方を見て欲しいという気持ちが強くなります。また、今まで思う存分、甘えることができたのに我慢しなければいけないことが増えて、自分も赤ちゃんに戻りたいと思い、赤ちゃん帰りの行動を取ってしまうのです。


赤ちゃん返りが起きるのはどんなとき?

ママがが妊娠したとき

ママが妊娠して体調が悪くなったとき、思うように子どもの面倒を見られなくなることがあります。具合が悪いとどうしても子どもに対して十分な対応ができなくなることもあります。その対応によって、突き放されたような気持ちになってしまう子もいます。また、おなかをかばって抱っこができなくなると、子どもはママに拒絶されたと感じてしまいがちです。周囲にも「ママが大変だから甘えちゃだめだよ」などと言われることもあるでしょう。「妊娠している」という状況を理解できず、今までのように優しく接してほしいという思いから、赤ちゃん返りを引き起こしてしまうのです。


赤ちゃん返りが起きるのはどんなとき?

環境が変化したとき

子どもは大人が思う以上に環境の変化に敏感です。赤ちゃんが生まれることは、子どもにとって大きな環境の変化となります。赤ちゃんが生まれたときだけではなく、幼稚園や保育園に入ったとき・保護者が仕事復帰したとき・引っ越しをしたときなども、赤ちゃん返りを起こすことがあります。


赤ちゃん返りが起きるのはどんなとき?

自分でできることが増えたとき

今までできなかったことができるようになるのは、パパ・ママにとっても子どもにとっても嬉しいことです。ところが、自分でできるようになったことでパパ・ママの手が離れ、さびしさを感じる子どももいます。例えば、トイレトレーニングがうまく進んで一人でトイレに行けるようになると、パパ・ママの付き添いがなくなります。子どもは「一人でトイレに行くのはさびしい」という気持ちになり、できるのにできないふりをすることもあるのです。



赤ちゃん返りはいつまで続く?


赤ちゃん返りはいつまで続く?

赤ちゃん返りが起こる年齢は、自我が発達してきた2歳頃から、小学生くらいまでと幅広いそうです。特に2~3歳に起こりやすいと言われていますが、環境が変わったり、精神的なストレスがかかったりすると、小学生くらいまではいつ起こってもおかしくありません。

 

赤ちゃん返りが続く期間は1ヶ月以下~1年以上と幅がありますが、平均では約半年(5.3ヶ月)という調査もあるようです。

 

一度収まったと思った赤ちゃん返りがぶり返したり、何度も繰り返すこともあります。また、赤ちゃん返りをしたときに十分に対応してあげられないと、もっと大きくなってから、また爆発することもあります。



赤ちゃん返りの時に避けたいNG行動


赤ちゃん返りの時に避けたいNG行動

感情的に怒る

「いい加減にしなさい」「なんでできないの」と、感情的に怒るのはよくありません。子どもは「やっぱり自分のことが嫌いなんだ」と思って、赤ちゃん返りがよりエスカレートする可能性があります。

 

拒否したりおどしたりする

忙しいときに甘えられたり泣かれたりすると、イライラしてつい「邪魔だからあっちへ行って」「できないなら置いていくよ」などと言ってしまいたくなります。ただ、子どもは保護者に拒絶されることをとても恐れています。うっかり口に出した言葉が、子どもを深く傷つけることもあるため注意が必要です。

 

甘えを受け入れない

今までできていたことができなくなったり、できないふりをされたりすると「自分でできるでしょ」と、突き放したくなってしまいます。また、年下の子どもの世話で忙しいと、「もう、お兄ちゃん・お姉ちゃんなんだから」と言ってしまうこともあるかもしれません。



赤ちゃん返り 対処方法


赤ちゃん返り 対処方法

怒らない

まるでわざと親を困らせているようにも思える赤ちゃん返りですが、子どもは「困らせようとしている」「恥をかかせようとしている」というわけではありません。ただ、自分に目を向けて欲しい、構って欲しいという気持ちなのです。だから、「お兄ちゃん/お姉ちゃんでしょ! 」「そんなことしないの! 」「恥ずかしいでしょ! 」などと怒っても、効果はありません。それどころか、余計に酷くなったり、心を閉ざしてしまう可能性もあります。

 

年齢が下だと思って接する

子どもが赤ちゃん返りすると、「もう◯歳なのに・・・」と思いがちです。でも、これまでできていたことを思い出しても、今は仕方ありません。小学生なら幼稚園児、幼稚園児なら2歳さんなど、実際の年齢よりもずっと下だと思って接してあげるのがおすすめです。実際は、本当に能力が戻ってしまった訳ではないので、気持ちが落ち着いたら、前できていたことはまたできるようになります。

 

やって欲しがることはできるだけやってあげる

スキンシップなど情緒的な要求に応えてあげるのは、「甘えを受け止める」といって、いくらやっても害にはならない、大切なことだと言われています。また、身の回りのことなど、自分でできることをやらせるのは大切ですが、「能力的にはできるけど、今は精神的にできない」ということは一時的に助けてあげた方が、精神安定上はよいと言われています。ただ、自分でやろうとしていることまでやってしまう、お菓子やおもちゃなど物を際限なく与えようとするのは過保護・過干渉であり、あまりよくない甘やかし方だと言われています。

 

スキンシップを増やす

言葉がまだ分からない赤ちゃんのとき、一番愛情を感じられるのは、スキンシップ、つまり、抱っこしたり、撫で撫でしたりすることだそうです。最近では、スキンシップによってオキシトシンというホルモンが分泌され、それが親子の愛着だけでなく、「人への信頼感」をはぐくむということも研究されています。もう大きいんだから、とは思わずに、できるだけスキンシップを増やしてあげると、「大切にされている」と実感しやすくなるそうです。

 

「ありがとう」と伝える

何の役に立たなくても愛してもらいたい! と赤ちゃん返りしている子どもですが、本当に一日寝っ転がっているわけではありませんよね。何かしら自分でやっていたり、手伝ってくれることもあります。そんなとき、これまでは「当たり前」だと思っていたことにも、「ありがとう」と声をかけてあげることで、子どもの自己肯定感が高まるそうです。ちょっとしたことに「ありがとう」と言うことは、「ちゃんと見ているよ」というメッセージにもなります。



子どもに寄り添う気持ちを大切に


子どもに寄り添う気持ちを大切に

どうしても避けて通るわけにはいかない「赤ちゃん返り」ですが、子どもが健全に成長している証なので安心してください。この時期にわが子としっかり向き合うことで、将来の親子関係は格段に良好になるでしょう。

 

赤ちゃん返りは、決して「お母さん・お父さんを困らせよう」とわざとしているわけではありません。小さな子どもでは抱えきれない不安な気持ちが表面化した結果が「赤ちゃん返り」であり、子ども自身もコントロールできないのです。イライラすることもあるかもしれませんが、親子の信頼関係を深めるためにも正しい対応を心がけましょう。